特許や商標権、著作権、ソフトウエア等無形財産の権利の評価方法を解説
Jul 07, 2024無形財産の評価額調査方法
亡くなった方が何らかの権利を持っていた場合には、相続人はその権利を引き継ぐことが可能です。
何らかの権利とは、特許権や著作権などの無体財産や知的財産の所有権の事です。
例えば、死亡した方が作家であった場合には、出版した本に対して著作権が生じるため印税収入が発生します。
著作権は、【著作者が著作物を創作した時点から発生し、著作者の死後70年で消滅】します。
この様に聞くと70年間印税収入が入ってくると思う方も多いと思いますが、それは誤りです。
売れない本の著作権を70年間保持しても一円も貰えません。
このことから、著作権については、一年間の平均印税収入額を元に、出版社等の有識者がどのくらいの期間販売することができるかを決定した期間で計算します。
出版物であれば、故人が亡くなった時の売上をベースに毎年少しずつ売り上げがダウンするということで相続税評価額を計算します。
著作権の有効期間は70年と決定していても、それだけでは著作権の評価額が決定しないということをご理解頂けたでしょうか?
同様に、特許権や実用新案権、商標権なども出願した日から決まった期間利益を貰えるという考えで計算されます。
但し、ゴルフ会員等については、市場取引が可能であるため、その取引相場の70%の価格を評価額とします。
以下に具体的な計算方法を説明します。
無形財産の資産価値の評価額計算方法
相続財産として計算できる権利には以下のようなものがあります。どれも、お金に換えることができます。
ゴルフ会員権
ゴルフ会員権は株式の形を取っている場合や退会時に返金する方法を取っている場合が多く、一般的に市場取引することが可能です。
市場取引できるということは、「取引相場」の金額が決まるということです。
相続税の評価額は、「取引相場」の70%で評価することが決まっていますので計算式は以下の様になります。
ゴルフ会員権の評価額=取引相場×70%
(相場のない場合、返還を受けることが可能な金額)
※「取引相場」については各ゴルフ場でそれぞれ異なりますので、購入したゴルフ場に「取引相場」を確認頂く必要があります。
なお、評価額の算出は上記の式で行いますが、評価額を計算したからと言ってゴルフ会員権を手放す必要はありません。
相続人の中でゴルフ会員権が欲しい方が居た場合には、その相続人がゴルフ会員権を引き継ぎ、その分その相続人の相続財産を削減すれば良いだけです。
特許権
特許権とは、新しい技術を発明した時に与えられる権利で特許庁の審査を得た証です。
特許権は被相続人の死亡によって直ちに相続されます。
特許の財産評価をするときは未来にもらえるお金を1年ごとに現在価値という形で計算します。
意味は「未来に受け取れるお金を今受け取ったものとして調整した額」です。
特許権の評価額=20年分の現在価値(医薬の場合は最大25年分)
※ただし、評価額が50万円以下であれば評価しません。
現在価値=経常的な売り上げ×複利現価率
複利現価率は、以下の式で求めます。
ただし、n:期間、r:基準年利率。
※基準年利率は、定期的に変動するため国税庁の以下のページを参照して下さい。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hyoka/230602/01.htm
1年ごとの現在価値を20回足し合わせることになります。
特許権の評価額=1年目の現在価値+2年目の現在価値+…+20年目の現在価値
実用新案権
実用新案権は、物品の形状、構造または組み合わせに係る考案を保護するための権利です。
物品の形状や構造、組み合わせについての知的財産権です。 特許と違い、技術そのものでなく形になったものが対象となります。
実用新案権は出願の日から10年間存続します。
評価方法は、特許の評価方法と同じです。
商標権
商標権は、マークと、そのマークを使用する商品・サービスの組合せで一つの権利となっています。
デザインやアートそのものを保護します。
意匠権は登録から20年間存続します。
評価方法は、特許の評価方法と同じです。
意匠権
物、建築物、画像(以下、「物等」)のデザインに対して与えられる独占排他権です。
自社や商品を示すロゴやネーミングなどを保護します。
商標権は登録から10年間存続し、10年単位での更新が可能です。
評価方法は、特許の評価方法と同じです。
ソフトウェア
ソフトウェアについては基本的に著作権で守られていますが、アルゴリズムにおいてはソフトウェア特許によって守ることができます。
ライセンス契約によってソフトウェアが収益を上げている場合は特許権と同じような評価が可能です。
よって、特許権の評価を用います。 広く販売しているソフトウェアについては収益の判断が難しく、著作権と同様に計算をします。
著作権(財産権)
著作権は、財産権としての性質を有するため、相続の対象となります。
ただし、被相続人の一身に専属する著作者人格権は相続の対象となりません。
一身専属権とは、被相続人以外の人に帰属するのが適当でないと判断される資格や権利のことです。
また、著作権の保護期間は、原則として、【著作者が著作物を創作した時点から発生し、著作者の死後70年で消滅】となります。
※なお、無名・変名・団体名義の著作物(公表後70年)、映画(公表後70年)などの例外があります。
保護期間が満了した著作権は、著作権者の許諾なく利用できるようになります。 著作権は、相続したあとも永続するわけではないので、注意が必要です。
文芸 | 小説・脚本・論文・作文 |
音楽 | 楽曲・歌詞 |
舞踏 | バレエやダンスの振り付け |
絵画等 | 絵画・彫刻・漫画 |
建築 | 芸術的な建築 |
図形など | 設計図・模型 |
写真 | 写真 |
映画 | 映画・アニメ |
プログラム | コンピュータプログラム |
著作権(財産権)は、特許権などと同じく相続したり譲渡したりできます。
不動産などと同じく評価額を算定し、他の相続財産と合わせてから税額を計算します。
著作権の評価額は次の算式によって、評価します。
著作権の財産評価額=年平均印税収入の額 × 0.5 × 評価倍率※複利年金原価率とは、一定のお金を定期的に積み立てて複利運用することが終了した場合の総額の、現在価値を求める率です。
- 年平均印税収入の額:相続発生の前年から3年間の印税収入の年平均額 年平均印税収入は課税時期の前年より前の三年間の印税収入を“年平均印税収入”として扱います。
個々の著作物に係る、つまり著作物ごとの著作権について評価を行うときは、その著作物に課税がかかる前年より前三年間の印税収入を“年平均印税収入”として式に代入します。- 評価倍率:相続後の各年の印税収入の額が年平均印税収入の額と同じものとして、「印税収入期間」に応ずる「基準年利率」による「複利年金原価率」とします。
※印税収入期間とは、著作物に関して精通している者の意見等を基として推算した期間です。 ※基準年利率とは、毎年国税庁から発表されるものです。
著作隣接権
著作隣接権とは、著作物の創作者ではないものの、著作物の伝達に重要な役割を果たしている実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者に認められた権利です。
例えば音楽プロダクションが持つCDをコピーする権利がこの権利に該当します。
評価方法は著作権と同じです。
まとめ
説明してきた様に、相続財産の評価額の求め方は、様々で、非常に大変な作業となります。
始めに、相続財産に対する一覧表を作成して1品ずつ評価額を計算していくことになります。
『簡単相続』を使用すると、財産の一覧表さえ作成すれば、後は評価額を計算してくれるので非常に楽です。(ゴルフ会員権の取引相場など専門家の評価が必要な物は除きます。)
資産価値の評価は、『簡単相続』終活対策版、『簡単相続』人生総括版にて実施することが可能です。
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